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レンドア帝政

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みなさんこんにちは。

てっかまきです。

ドラクエ休止に伴ってツイッターのドラクエ垢にアクセスしなくなるので、レンドア帝政を全てこちらに上げます。

レンドア帝政とはツイッター上で行われてるプレイヤーイベントで、みんなで群像劇のように物語を紡いでいこうというものです。

では、ご覧ください。どうぞ。

レンドア帝政-魔法屋てっかまき-

――ここはグランゼドーラ。レンダーシアで随一の大都会。太陽の高く登る昼間の通りには人々がしげしげと往来し、商店街は人でごった返し、そこかしこで笑い声や話し声が絶えず、街は活気にあふれていた。

そのような喧騒の中、活気のある通りから入った静かな細い路地。そこに1人のドワーフの男が足を踏み入れる。

暗い路地を進んで進んで右手に一件の店がある。古めかしく色気のない木製のドア。看板にはこう書いてある。

「てっか魔法堂」

男はドアノブに手をかけ、ゆっくりと引いた。ギイという音とともに、中に足を踏み入れる。明るい店内とは裏腹に中は暗い。そして、香のような変な臭いがする。店の奥にはカウンターがあり、座っていたのは若い女のオーガである。黒いウィッチハットにウィッチコート。バニラ色の髪。その女は無表情で言った。

「いらっしゃい」

この女は名をてっかまきという。この路地で細々と店を営んでいる魔法屋であった。彼女の錬金術は現在アストルティアで一般的なものとはまるで異質である。通常、錬金と言えば、武器や防具を強化する術を指す。だが、彼女が作るのは薬品である。様々な植物、物質を調合して薬にする。それが彼女の術であった。

「相談したいことがある」

ギイと戸を閉めながら男は言った。てっかまきは、その男をつぶさに観察する。小柄のドワーフ。黒いコートに黒いサングラス。明らかにカタギの人間ではなかった。

「なんでしょう?」

てっかまきは気だるそうに言う。

「毒薬が欲しい。内密にな」

「毒薬? 何のためにお使いに?」

「人を殺したい」

「毒薬なんだから、それはわかりますよ」

てっかまきはクスクスと笑った。

「何のために、誰を殺すのかということを聞いてるのです」

「それは言えない」

てっかまきは目を細める。

「理由をお聞かせ願えないのならば、お売りできません。当店に危害が及ぶ用途だったら困りますので」

「そちらに迷惑はかけない」

「お話いただけないのならばお売りできません」

てっかまきは若干語気を強めて言った。男は眉間にしわを寄せ、舌打ちをする。

「わかった。話すよ……」

「そちらへお座りください」

てっかまきはカウンターの中から出ると、部屋の隅にあった小さな丸テーブルに案内した。男は丸テーブルの前にある椅子に腰掛けると、サングラスを外し、胸ポケットに仕舞う。てっかまきも向かいの席に座った。

「で、何のために毒薬を?」

てっかまきは軽くため息をつく。

「俺は地上げ屋だ」

「地上げ屋?」

「そうだ。お前さん、レンダーヒルズの話を知ってるか?」

「ええ、ここのところよく新聞に広告のチラシが入ってますね。ラッカランにオープンする予定の高級住宅地とか」

「そうだ。それで、いま建設予定地の土地を買い占めてる途中なんだが、難儀していてな」

地上げ屋とは地主と交渉して土地を買い占める商売人である。通常、細やかに分かれて所有されている土地よりもまとまった土地を1人が所有していたほうが値段は高くなる。大きい建物が建てられるからである。ちょうど、バザーの梱包屋と同じ理屈だと考えれば良い。

「どうしても動かない地主が1人いるんだ」

地上げ屋は腕組みをしてため息をついた。

「レンダーヒルズは転売禁止だとチラシに書いてありましたが」

「それは住宅村がオープンしてからの話だ。オープン前の土地ならば転売できる」

「なるほど。それで、その地主を殺したいわけですか?」

「そうだ。しかも絶対にバレない方法で殺したい。捕まったら元のもくあみだからな」

「そうですか。少々お待ちください」

てっかまきはカウンターの中に入ると、奥の棚から小ビンを1つ持ってきた。

「この薬を」

「これは?」

「水に浸かると体が重くなる薬です。これ自体は毒ではありませんので、検死されても検出されません」

「これでどうやって殺人を?」

「何らかの方法で深い水にターゲットを落として下さい。そうすれば溺死します」

「なるほど。では、それを貰おうか」

「15000ゴールドになります」

地上げ屋は金を払うと、再びサングラスをかけ、立ち上がった。

「ちなみにどこの土地を手に入れるおつもりで?」

「35丁目が予定されてる場所だ」

「……そうですか」

地上げ屋は薬を懐に入れると、バサリとコートをはためかせて店を出て行った。

――数日後。

てっかまきはカウンターの中で昼食を取っていた。小さいパン。焼いたソーセージに卵焼き。レンダーシアのパンは美味い。メルサンディ産の小麦を使っている。もちもちフワフワとした舌触りに芳醇な小麦の香り、こればかりはレンダーシアに住む者の特権であった。しかし、外は大雨である。今日は1人も客が来ていない。さすがに店仕舞いしようかと思ったそのとき。入り口の戸が勢い良くギイイと開いた。入ってきたのは1人のウェディの男である。貴族風の高価そうな服は雨によって無残にもびしょ濡れであった。急いで走ってきたのか、ハアハアと息を切らしている。

「いらっしゃい」

てっかまきはパンを口に含みながら、半ば何を行っているのかわからない言い方で言う。

「すまない。ちょっと今いいか?」

「どうぞ」

男はカウンターの前まで来ると、身を乗り出しててっかまきに尋ねる。

「ある金持ちの家に盗みに入りたいんだ」

てっかまきはミルクをゴクリと飲み干した。

「どちらの家に?」

「アズランにあるシラナミというやつの家だ」

「なぜ盗みを?」

「金がいるんだ。レンダーヒルズ建設予定地の土地を買いたい」

てっかまきは宙を眺めて一瞬考えた。

「そうですか。ならうってつけの場所がありますよ」

「うってつけの場所?」

「35丁目に相当する場所が丸丸1人の所有なんです」

男は首をかしげる。

「なんでそんなことがわかるんだ?」

「先日、うちに来た地上げ屋さんが言っていたのですよ」

「そ、それはすごい! 値上がること間違い無しだ!」

男は目を見開いて喜んだ。

「転売屋さんですか?」

「そうだ。今回のレンダーヒルズは一世一代の大儲けだ! 早く薬をくれ!」

てっかまきは奥の薬棚から1つ小ビンを取り出し、男に差し出す。

「体が透明になる薬です。ただし30分しか効果が持続しませんので注意して下さい」

「よし、それをくれ!」

「30000Gになります」

男は財布からチャリチャリとゴールドを出し、乱暴にてっかまきに手渡した。

「ありがとう! 邪魔したな!」

男は薬を取ると、足早に店から出ていこうとした。

「1つ問題があります」

唐突に、てっかまきにそう言われて、思わず振り向く男。

「問題?」

「ええ……」

「どんな問題だ?」

「実は先日のお客というのがかなり交渉事に長けた人間でして、簡単には譲ってくれないかと思います」

「な、なに?」

「薬を売ったときも、さんざん値切られまして、大損でした」

肩を落として落胆する男。

「ですが、それを解決する良い薬があります」

「な、なに!? どんな薬だ!?」

「話術の能力を高める薬です」

それを聞いた男はガッツポーズをする。

「よし、それも買おう」

「ですが、それには高価な材料が必要でして、先立つものが無くては……」

「いくらだ?」

「650万ゴールド」

男は目を見開いて身震いした。

「……そのシラナミという人の家から帰った後にまたここに来てくだされば」

「そ、そうだな。そうしよう。邪魔したな」

男は足早に店から去っていった。てっかまきはそれを見てニヤリと笑った。

――さらに数日後。てっかまきはいつものようにカウンターの中で客が来るのを待っていた。お茶を飲みながら新聞を読んでいる。

「ガタラズスラム消失! 犠牲者はゼロ!」

そのような大見出しが飾っている一面。

その下に「勝ち組オブ勝ち組、泥棒に入られる」と、小さく記事が載っている。

てっかまきはフフンと鼻で笑った。

そこにギイと扉が開き、1人の男が入ってくる。あの転売屋である。

「今いいか?」

「どうぞ」

転売屋は入り口から首を出して人通りを確かめた後、静かに扉を閉めた。

「……言われた通り金を持ってきた」

「首尾はどうでした?」

「予定地を一区画買い占められる程度の金は用意出来た」

「お金は全部持ってきたので?」

「ああ。盗まれたら困るからな」

てっかまきは軽く笑う。

「では薬を作りますのでしばらくお待ち下さい」

「ああ……、頼む」

丸テーブルの前の椅子にどかっと腰掛ける転売屋。丸テーブルの上に大きめの革袋を置いた。おそらく金が入っていると思われる。そして、左手には片手剣を携えている。強盗にあったときのための護身用に持ってきたのだろう。

てっかまきは一旦奥に引っ込むと、お茶を持って出てきた。

「少々、お時間がかかりますので……」

転売屋にお茶を差し出す。

「すまん」

のどが渇いていたのだろう。転売屋はそのお茶を一気に飲み干した、途端――。

「グ、グガガガアアアア!!」

転売屋の顔がみるみる赤くなっていく。乱暴にテーブルをひっくり返し、椅子を蹴り飛ばす転売屋。そして転売屋は剣を抜いた。

「殺してやる!!」

転売屋は鬼の形相でてっかまきを斬りつけた。ひょいとかわし、店から逃げ出すてっかまき。

「待ちやがれ!!」

転売屋は追ってくる。てっかまきは風のように走り、路地を抜け、多くの人が往来する大通りまで出た。

「キャー!!」

通行人が悲鳴をあげた。てっかまきは立ち止まり、転売屋と対峙する。

「殺してやるぞ! 魔法屋!」

転売屋は顔を真っ赤にして怒りの相を浮かべ、素早くてっかまきに斬りつけた。またてっかまきはひらりとかわす。

「やめなさい! 何のつもりなの!?」

「うるさい! 殺す殺す殺す!!」

そんな調子で何太刀か攻防が続いた。周りには人だかりが出来ており、群衆たちは転売屋が斬りつけるたびに悲鳴をあげた。また、転売屋が斬りつけた。てっかまきはひらりとかわしながら呪文を詠唱し、転売屋の顔にメラを投げつけた。顔に火球が直撃し、ばたりと倒れる転売屋。

「おい! これは何の騒ぎだ!」

騒ぎを駆けつけて来たのは兵士である。

「お前、何やった!」

兵士はてっかまきに槍を向ける。

「この人がいきなり襲ってきて……」

「なんだと?」

兵士はしゃがみこんで転売屋の死体を調べている。群衆たちはお互いに顔を見合わせた。

「あの……、私達も見ました。この男の人がこの女の人を一方的に斬りつけていたんです」

兵士は立ち上がり、じっと考えた。

「私は捕まるんですか?」

てっかまきは冷静に兵士に尋ねる。

「いや、これは明らかな正当防衛だ。目撃者の証言もある。君は無罪だ。行っていいぞ」

「どうも」

てっかまきは店のある路地に入った。懐から小ビンを出し、じっと眺める。

(人を怒らせる薬……)

てっかまきはフフッと笑う。

――後には金だけが残った。

あとがき

みなさん如何でしたでしょうか。

この物語は10分で考えて3時間で書き上げたので、あんまりおもしろくないかもしれませんw

これが私の参加する最後のプレイヤーイベントになりましたね。

そのイベントが「物語を作る」というイベントであるのは、物書きをしてる私にとって非常に嬉しいことです。

みなさん、読んでいただいてありがとうございました。

これからも小説家てっかまきをよろしくお願いします。