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【小説】放浪の帝イサ・第4話-猫といっしょに-

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みなさんこんにちは。

てっかまきです。

今回はちょっと短めのお話です。

4200文字ぐらい。

でもかわいいネコが出てくるので許してください。

では、ご覧ください、どうぞ。

第4話-猫といっしょに-

――イサは迷っていた。森で。森の中で。

発端は野盗だった。街道を歩いていると1人の野盗に遭遇したのだ。野盗はイサを見るなり一目散に逃げた。彼が近くの森に逃げ込んだため、追いかけたのだ。それが失敗だった。彼を見失ったばかりか森から抜け出せなくなり、もう1週間も彷徨い続けている。食料の予備もほとんど持っておらず、野うさぎやカエルを捕まえて食べたりしたが、それだけでは空腹を凌ぐことは無理だった。森の中にはデンプン質になるものがほとんど無いのだ。山菜の根っこなどから多少は取れるが、主食となるレベルの物を食べなければまともなエネルギーにはならない。あるとき野生のイモのような植物を見つけ夢中で掘って食べた。満腹になって安心していたら、いきなり腹に激痛が走り、目の前がぐるぐる回り始めたため、慌てて喉に指を突っ込んで吐き出したということもあった。そんなこともあり、一週間歩きっぱなしだったこともあり、イサはエネルギー不足で頭が朦朧とし、方向感覚が無くなり余計に迷うという悪循環に陥っていた。そして、ついにイサは体が動かなくなり、地面に倒れてしまった。

しばらくするとイサの耳に音が聞こえてきた。人間の足音である。どんどん近づいてくる。そして、革袋を弄っているような音が聞こえる。今ごろ野盗が戻ってきたかとイサは思った。イサはそれだけ聞くと意識を失ってしまった。

――にゃ~ん。

猫のような鳴き声でイサは目覚めた。何かが顔を舐めてるような感触がする、なんだと思って目を開けてみると案の定1匹の猫がいた。イサはフラフラしながら起き上がる。良い時に食べ物が来たとイサが思ったその時、

「おい、あんた、そんなとこで何やってんだい?」

その声に振り向くと男が1人が立っていた。イサはやっとの思いで声を絞り出し、助けてほしいと言った。男は人を呼んでくるからちょっと待ってろと言って森の奥へ駆けていった。待ってる間も猫は常に傍らにいて、じっとこっちを見ている。しばらくすると3人の男が走ってきた。男の1人が持っていた革袋の中から木の椀と小さい革袋を出した。小さい革袋から出てきたのは米の粥だった。男は椀にそれを移すと、とりあえずこれを食べろとイサに差し出した。イサが口をつけようとした時、いきなり猫が飛びかかってきて粥を全てこぼしてしまった。
「なにすんだ! このクソ猫!」
男は木の棒で猫を追い払った。3人はここじゃ埒が明かないから村に連れて行こうと言って、男の1人がイサに肩を貸し、村に向かって歩き始めた。イサが振り向くと一定の距離を取りながら猫が付いてきている。イサは少し不思議に思ったが今はそれどころではなかった。

イサは村に着くと改めて粥をごちそうになった。1週間ぶりのまともな食事は美味かった。体に染み渡るような気がした。イサが椀を舐めまわすような勢いで食べたため、男はいくらでもおかわりあるのにと笑った。満腹になったイサは改めてじっと見た。猫をである。家の中に猫がいるのだ。あれからずっとイサに付いてきて、男の家の中に入り込んだ挙句、粥の鍋をひっくり返した。追いだそうとすると暴れて手や顔を引っ掻くので男も途方に暮れ、そのままにして、粥を作りなおしたのである。毛は短く、茶と黒の縞模様であり、見たところ結構年寄りの猫だ。12~13歳ぐらいであろうか。
イサは気持ちに余裕が出てきたため家の中を見回してみた。今イサが座っている木の椅子とテーブル。簡素なキッチン。安物のベッド。どこにでもある普通の村の家という感じである。今度は粥をくれた男をよく見てみた。年の頃は25歳ぐらい。中肉中背。栗色の短い髪にグレーのシャツ、茶色いズボン、どこにでもいそうな普通の顔立ち。この男に特に違和感は無い。――1点を除いては。
「素敵な腕輪ですね」
イサはそれとなく男に聞いてみた。そう、男はその出で立ちには似つかわしくない高価な腕輪をつけていたのだ。見たところ金貨100枚はする代物である。この家を見るかぎり普通の方法で手に入れた物ではないことは容易に想像ができた。
「ああ、これ、森で死んでいた野盗が持ってたんだよ。綺麗だろ?」
男はそう言うと無邪気に笑ってみせた。いちおう理屈は通っている。だが何かおかしい。イサはそう思った。
イサは男に礼を言って家を出た後、村をつぶさに見て回った。人口30人ほどのごくごく小さい村である。いや、村というより集落というべきか。畑の中にポツポツと茅葺きの家がある。イサはその家々を注意深く観察した。傍らに猫を連れながら。
イサがとある家を調べ、別に普通の家だなと思い、次に行こうとしたとき猫がにゃ~んと鳴いた。猫はにゃんにゃん鳴きながら家の裏に歩いて行く。イサも裏に行ってみるが特に何もない。猫をよく見てみると、地面をぐるぐる回ってはフンフン臭っている。
「そこに何かあるってこと?」
イサは猫に尋ねるが当然答えは帰ってこないので、猫が臭っているところを手で触ってみた。そこだけ土が柔らかい。掘った形跡がある。イサはそこを手で掘ってみると何かぶよぶよしたものに手が当たった。
「これは……革袋?」
イサが掘り出して中を確認すると大量の金貨が入っている。ざっと200枚はありそうだ。イサはそっとそれを元に戻し、土をかけると、他の家を調べ始めた。もちろん猫もいっしょである。
他の家にもそれぞれ不審な点がたくさんあった、物置にある高価な鎧と剣、藁の束の中に隠された大量の宝石、ベッドの下に隠された金細工の装飾品。どの家もそれぞれ高価な品を隠し持っているのだ。
イサが猫と一緒に確実な証拠を探してウロウロしていると、村人の1人が声をかけてきた。
「すみません旅人さん。村長が話があると」
イサは探索してるのがバレたかと思った。迷宮入りかなと半ばあきらめていた。イサが村長の家に行くと村長と3人の村人が集まっていた。イサはそれとなく家の中を見回してみた。特段変わったところはない。イサが促されるまま椅子に腰掛けると、村長は話し始めた。
「何か色々と村を嗅ぎまわっておられるようだが?」
イサは何も言わない。
「腹がいっぱいになったら、早々にこの村を出て行ってくだされ」
イサは黙っている。村長が言うにはよそ者にはあまり詮索してほしくないのだと言う。イサは不審に思いつつも決め手がないため、従うことにした。

村を出てしばらくすると、急に猫がにゃーお、にゃーおと鳴き出した。イサが何だろうと思って見ると、イサが行く方向とは反対方向に歩いて行き、後ろを振り返ってにゃーおと鳴く。
「付いて来いってこと?」
イサは不思議に思いつつも猫が案内する通りに付いて行く。すると、15分ほど歩いた場所に洞窟があった。猫は洞窟の中に入っていく。イサも猫を追って洞窟の中に足を踏み入れた。

――さらに20分後、村にて。
「……行きましたか」
「ああ、行ったようじゃ」
村の入口で村長と村人が話している。
「これでまあ、一安心と言ったところじゃの」
村長と村人が戻ろうとしたその時、
「まだ安心じゃないわよ」
2人が振り向くとイサが立っていた。
「な、なんじゃ、出て行けと言ったじゃろうが」
イサは2人の前に何かを放り投げる。村長の前にゴロゴロと転がったもの。それは人の頭蓋骨であった。それを見た2人の顔色が変わる。
「これが、洞窟の中に大量にあった。野盗の鎧もね」
「何のことじゃかわしらには……」
イサは剣を抜くとそばにあった大木を真っ二つに切断してみせた。腰を抜かして怯える2人。
「白状しないとこの場で殺す。正直に言えば命だけは助けてやる」
そう言われた村長は全て白状した。まず1人の村人が野盗に変装して街道を歩いている冒険者を森に引き込む。腹が減った頃合いを見て別の村人が村に案内して毒粥を食べさせて殺す。その方法でこれまで冒険者を殺し、金品をせしめてきたという。
しかし今回、村人はイサを森に引き込んだ後、見失ってしまったのである。そして、1週間後に倒れているイサを見つける。村人はこれ幸いと毒粥を食べさせようとした。だが猫に鍋ごとひっくり返された。作り直さずに帰すのも不自然だし、イサの前で毒を入れるわけにも行かないので、仕方なく普通に食べさせて帰そうとしたのである。なぜ弱っているところを凶器で殺そうと思わなかったのかとイサが問うと、剣を携えていたので怖かったと村長は答えた。
イサも長いこと旅をしているが村人に殺されそうになったのは初めてであった。猫が居なかったらイサは死んでいたのである。
「しょ、正直に話したんじゃ、これでいいじゃろ? お願いじゃ、早く帰ってくれ」
村長は必死の形相でイサに帰るように促した。イサはニコリと笑うと、次の瞬間、村長の首を跳ねた。
「そんな! 約束が違うじゃないですか! 正直に話したら助けてやるって!」
隣に居た村人は震えながら猛抗議した。
「残念ね」
「え?」
「私は嘘つきなの」
村人の首も飛んだ。その後、イサは逃げ惑う村人たちを皆殺しにした。そして返り血にまみれて村を後にした。

森の外へは猫が案内してくれた。遠目に街道が見える。なんのことはない村から2時間も歩けば街道に辿り着いた。イサは1週間同じ所をぐるぐる回ってただけだったのだ。
「……そういや、1個だけわからないことがあるんだけど、あんたって何で私だけ助けようと思ったわけ?」
イサは猫に尋ねた。すると猫はイサが持っている革袋をひっかきはじめた。イサが不思議に思いつつ革袋を下ろすと猫は袋の中に入り込み何やらごそごそしている。イサが革袋の入り口を広げると、猫は竜帝の証である紋章メダルをペロペロとなめていた。
「私が竜帝だから助けたの?」
イサは驚き呆れたように笑いながら言う。猫はイサの顔を見るとにゃ~んと鳴いた。
「……あんたさ、帝都に来ない? 美味しいご飯と温かい寝床は保証するわよ」
猫はしばらくイサの顔を見ていたが、やがてプイッと森に戻って行ってしまった。
「ふふ、変な猫」
イサは街道に戻り、次の町へ向けて歩き始めた。

イサの即位から11年前、イサの叔母に当たる当時の竜帝ネイシュが、行幸の際、餓死寸前だった1匹の子猫を戯れに助けたことをイサは知らない。

――イサの旅はまだまだ続く。

あとがき

この「放浪の帝イサ」はね、実は「小説家になろう」に毎日連載してたんですよ。

つまり1日1話書いてたわけです。

よくこんなの毎日書いてたよね。

案の定、10日で挫折するんですけど。

やっぱりねー、小説を書くのはエネルギーが必要ですね。

1日1話書いてたころは3ヶ月ぐらい毎日猛烈に書いてましたが、引っ越しで2,3日書かなかったら燃え尽き症候群みたいになって、創作意欲がさっぱり無くなりました。

それ以後、「RPてっかまき物語」まで1度も筆を取らなかったんですけどね。

さて、というわけで、明日も上げますので、お楽しみに。

See You!

コメント

  1. フェアリー より:

    猫の恩返しってやつかね〜w
    毎週見て楽しませてもらってるよ~♪

  2. ハルカ より:

    意外な展開でおどろき♪
    こういう作品って、魔物中心とそうじゃない物があるよね。てっかまき作品は魔物の居ない世界?に見える…。

    • てっかまき より:

      読んでくれてありがとう^^
      私って魔物書くの苦手なのよ。魔法も苦手。
      武器を使った人間同士の戦いなら、格闘技の動画とかが参考になるんだけど、魔物の動きをどう描写するかがね……。
      だからティシュラルトには人間以外いないです。魔法もない。
      今書きかけの「アンチ・イケメン・サーガ」という作品には魔物と魔法が出てくるんだけど、それも申し訳程度やね。どうしても人型の魔物ばっかりになっちゃう。
      その辺、もうちょっと練習しないとね。