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【小説】魔神系非モテ女子の戦い・第1話

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みなさんこんにちは。

てっかまきです。

今日から新作を上げていきます。

ジャンルは現代ファンタジーです。

この作品はまだ完結してないのですが、出来てるところまで上げようと思います。

だいたい2000~3000文字ずつ上げていくので、通勤や通学の時間にでも気軽に読めると思います。

それから、お話の途中でもコメント書きたかったら書いていいです。コメント無いと寂しいので。

それでは、まずは第1話。どうぞ。

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第1話 非モテ女子ですが何か?

――ああ、それにつけても男が欲しい。

「秋月さん、503会議室で設計レビューお願いします」
「はーい、すぐ行きまーす」

2014年5月。時価総額10位以内に入る超一流精密機械メーカー、株式会社トルペド。そこの開発センターに彼女はいた。

秋月奈央、27歳、女性、東京大学大学院工学系研究科修了の一流エンジニア。だが、彼女は彼氏いない歴27年の典型的な非モテ女子であった。容姿が悪いわけではない、特に良いわけでもないが。十人並みと言ったところである。彼氏が居てもおかしくはない。だが、彼女の残念さは容姿以外のところにあるのである。

開発センターの一角、503会議室ではレビューが行われていた。プリンタの中で動く組み込みソフトウェアでバグが出たため、その対応を設計室の全員で審査するのだ。定員10人ぐらいの小さい会議室で、出席者は奈央を合わせて8人であった。

「えー、この現象はBluetooth ManagerタスクとOBEXタスクの間でメッセージのすれ違いが起きることで発生しまして、発生頻度はおよそ20セッションに1回です。対応としましては……」

奈央の後輩が障害対応について説明している。会議室の蛍光灯を消し、パワーポイントで作った資料をプロジェクターで映しながら他の設計者に説明するのだ。奈央は腕組みし、足を組んでそれを聞いている。

「……ということになります。ご質問ありますか?」
後輩が説明し終わり、質問を促す。暗い会議室を見渡すが、誰も何も言わない。
「はい、ではこのレビューは以上で……」

「そもそも設計自体がおかしいんじゃない?」
後輩がレビューを締める寸前で奈央が茶々をいれる。

「あの、設計の何がおかしいんでしょうか?」
「これ、Cプラ使ってるけどほとんどオブジェクト指向になってないじゃない」
後輩は答えに詰まり頭をかきながらスクリーンを見ている。

「あなた、オブジェクト指向を本当に理解しているの?」
「いや、あの、理解しているかと言われれば、その、まだ勉強中というか……」
後輩はしどろもどろになりながら答える。

「わかった。1つ例題を出すわ。人間クラスをスーパークラスとしてバカ男クラスとクソ女クラスをインヘリタンスさせるとするわよね? このとき、人間クラスには仕草メソッドがあって、戻り値が心理オブジェクトなわけだけど、 人間クラスをインヘリタンスしたクソ女クラスには仕草メソッドの戻り値に媚びオブジェクトを返させたいの。 一方、バカ男クラスの仕草メソッドが返したいのは心理オブジェクトじゃなくて性欲丸出しオブジェクトなの。 型が厳密な言語、そうね、ファームでは使われないけど仮にJavaで設計するとして、この場合どうしたいいかわかる? ……わからないのね。いい? そもそもバカ男クラスとクソ女クラスを人間クラスからインヘリタンスするからいけないのよ。あいつらはまともな人間じゃないんだから人間とのis a関係は成り立たない。正解はクソ女クラスのスーパークラスはクソブス媚売りヤリマンクラス、バカ男クラスのスーパークラスは性欲丸出しバカクズうんこクラスというふうに設計する。理解できる?」

奈央の設計論にしーんと静まり返る会議室。

「……終わっていいよ」
課長の黒井和也が奈央を無視して強引にレビューを締めた。

(なんで私が質問したときだけいつも誰も答えないのかしら)
奈央は憮然としながらセンターの廊下を歩いていた。自販機で缶コーヒーのブラックを買って喫煙室に入る。そして、窓のヘリに腰掛けると青い作業着のポケットからタバコを取り出して火を点け、ゆるいパーマのかかった茶髪のロングヘアをいじりながらフーと吸い始めた。銘柄はラークの緑である。

そのとき、天井のスピーカーから定時のチャイムが鳴り響いた。
(あー、やる気なくしたからもう帰っちゃおうかな)

奈央は自分の席にあるパソコンの電源も切らずにそのままロッカールームへ直行し、課の他のメンバーに挨拶もせず、パンツスーツに着替えて帰ってしまった。

帰りの電車の中、空腹で腹が鳴った奈央は駅から自宅への間で食事をして帰ることにした。駅前にある牛丼屋。見慣れたオレンジ色の看板。
「いらっしゃいませ~!」
恰幅の良い男性店員の大きな声が店内に響く。肉の脂、そして出汁、醤油ダレ、それらが混ざった臭いに、もう一度奈央の腹が鳴った。

「牛丼、大盛りつゆだくで」
奈央が頼むのはいつもこのメニューである。

待ってる間、手持ち無沙汰から何気なく店内を見回す。まだ食事時には少し早いため店内には初老の男性と大学生と思しき男性の2人しか居ない。下を向いてiPhoneをいじっていると、そのうち店員が牛丼を持って来た。

意気揚々と割り箸を取り、パキッと割る奈央。次に紅しょうがを大量に牛丼の上に乗せる。

そして、箸を持つ。いや、しっかりと握る。

準備完了したら、米と牛肉と紅しょうがを全て底からグチャグチャにかき混ぜる。カウンターの上につゆをダラっとこぼす奈央。

そして、丼を持って口にかきこみ、咀嚼する。クチャクチャと大きな音を出しながら。

そして、食べている途中にときどきiPhoneをいじるので、牛丼の中にロングヘアが入りまくる。そんなことも気にせず、至福の表情で牛丼を食べる。

ときどき口にも髪の毛が入るけど、それも気にしない。

前のカウンターに座った女の壮絶な食べ方に大学生がポカンと口を開けて見ている。それに気づいた奈央。

(ふふん、やっと現れたか。私の魅力に気づく男が。……あんまり好みではないけど、セックスしてやるよ。ほら、来い。私とセックスしたいんだろう? セックス、セックス)

しかし男性は奈央のことを気にしながらも、会計をすませ、逃げるように店から出て行ってしまった。

なぜ――。男が――。男が離れていく――。

奈央はコンビニに寄り、大きなビニール袋を下げて家に帰った。買ったのは缶ビール2本、焼酎4合瓶1本。そして、大量のさきいか、あたりめ、イカ軟骨。

奈央は1人暮らしである。福岡県出身で、大学入学を機に上京してきたのだ。

帰り着いた奈央は部屋の蛍光灯を点けた。

8畳ワンルームの洋室。床は見えない。衣服や紙袋が大量に散乱しているから。3段に積まれた段ボール箱はもはや奈央自身も何が入っているか把握していない。部屋の隅にはホコリの塊。パソコンラックのそばには飲みかけのペットボトルが大量に。トイレには水垢がびっしり。浴室の排水口は髪の毛が詰まってて機能しない。

奈央は帰るなりコンビニの袋をパソコンラックのそばに置き、パンツスーツを脱いでバッグと共にベッドに投げ散らかすと、毛玉だらけのトレーナーとジャージに着替えた。そして、パソコンのマウスを動かすと、すぐに明るくなるディスプレイ。基本的に電源は入れっぱなしである。奈央はタバコに火をつけ、フーと一息吸ってから回転式の灰皿の上に置くと、ビールをプシュッと開けた。ジュルルと飲みながら真っ先に開いたのは婚活サイトである。――メッセージ0件。なぜ? 奈央はそう思った。

『年齢20歳から30歳。年収800万円以上の正社員。身長180センチ以上。体重70キロ程度。三浦翔平タイプのイケメンで、長男ではない人。性格は優しくて真面目で遊び慣れてて知的。最低でも旧帝大を卒業。医者、弁護士歓迎』

(特に条件は多くないと思うんだけど……)
奈央は首を傾げながらChromeのタブを閉じる。

次に奈央が開いたのは2ちゃんねるである。もちろん専用ブラウザで。そしてこういうスレを立てる。「彼氏いない歴年齢の女だけど暇だから全レス」最初は画像を上げろという声の大合唱だったのに何歳かという問いに27歳と答えた途端に罵倒の嵐。

(なにこれ、やっぱダメだわ2ちゃんは。頭の悪い童貞しかいない。女ならやっぱりガルちゃんよね)
フーと煙を吐きながらガールズちゃんねるを開く奈央。「あなたはどの芸能人に似てますか?」というトピを開く。そして「桐谷美玲」と書く。マイナス評価の嵐。
(なんで? 本当に似てるのに)

その後、奈央は缶ビールを2本と焼酎をロックで4合飲んで、メイクも落とさずにゴーゴーいびきをかきながら寝てしまった。

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コメント

  1. ハルカ より:

    タイトルから中二病みたいなの想像してたけど意外と真面目だった♪