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【小説】RPてっかまき物語~死霊との戦い~、第4部

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――5年前。レーンの村から海に出たところにある小島の村。

「ヤン、おるかね?」

「あっ! 村長さん」

ヤンは食事の手を止めて、家の入口の扉を開けた。ここは名もない小さな村。人口は100人に満たない。漁業と農業で自給自足をしている、のどかな村である。

「レイガからの郵便が届いたぞ」

「わぁ、ありがとう。お茶でも飲んでってよ」

「すまんなぁ。じゃあ呼ばれるとしようかね」

村長はヤンの家の入り口をくぐって中に入った。藁葺き屋根の質素な家である。湿気が篭もらないように床は高くして、風通しを良くしてある。中にはテーブルと椅子と、質素なキッチンとベッドがあるだけ。

「どうぞ、粗茶ですが」

「すまんな」

ヤンは村長に島で採れた茶葉を水出しした冷茶を出した。村長はクビクビとお茶を飲み、肩にかけていたタオルで顔をぬぐった。

「レイガが出て行ってもう5年か」

「ええ」

「お前も寂しいじゃろう。たった1人で」

「いえ、村長さんや、村のみんなが居てくれるので寂しくないですよ」

「そう言ってくれると儂もうれしいよ」

村長はにこやかな笑顔を見せた。

そのとき、扉をコンコンとノックする音がした。

「はぁい!」

ヤンは元気よく返事をして扉の前に趣き、そっと開けた。

「なんでしょう?」

そこに立っていたのはオーガの女と紫色の鎧を着た人間の男である。女はバニラ色の盛り髪にバニラ色のオーガ町人服、背中にははがねの大剣を背負っており、男は金色の短髪に双剣を携えていた。

「突然押しかけてごめんなさい、この辺で黒く光る石を見なかったかしら?」

「黒く光る石? さあ、知りませんけど。村長さん、ご存じですか?」

村長がヤンの横から前に出てくる。

「この世で黒く光る石って言や、そりゃ魔瘴石のことじゃろ? そんな物騒なもんこの村には無いわい」

女と男はお互いに顔を見合わせ、うなずいた。

「ベルノルト、あなたは先に村の外を探してて。私は宿を手配してから、すぐに行くわ」

「わかった。頼む」

そう言うと男は村の入り口のほうへ歩いて行った。

「村長さん、宿はどちらかしら?」

「ああ、宿なら村の一番奥にある大きい家だが……」

「ありがと。お邪魔したわね」

「ちょ、ちょっと待ってくれい! お前さんがたは何者じゃ? なぜこの村に来た?」

「……私たちはヴェリナード調査団の者よ。雇われだけどね」

「お城の……、なぜお城のお方がこんなへんぴなところへ?」

「詳しいことは知らないけど、この島に強烈な魔瘴の波動があることがわかったんだってよ。私らはこの島にある魔瘴石を探せって言われて来ただけ」

「そ、そんな……」

「もし、黒い石を見つけたら、教えて」

そう言うと、女は家を後にし、宿の方へ歩いて行った。

「え、偉いことじゃ。この島に魔瘴石なんていうどえらいもんがあるとは……」

「だいじょうぶですよ。お城から来た方々なんですから、なんとかしてくださいます」

ヤンはにこやかに笑った。

「じゃあ、僕、山に山菜を取りに行ってきますね」

「お、おい……」

村長が制止するも、ヤンは山へ向かって歩いて行った。

この島は比較的自然が豊富で島の中心部には山があり、山菜や木の実が取れた。ヤンは意気揚々と山へ登っていく。

「いつか兄さんが帰ってきたら、僕1人でもちゃんとできるってとこ見せてやらないとね」

鼻歌を歌いながら中腹まで登ったとき、ヤンを強烈な違和感が襲った。

「な、なにこの気配……」

強烈な闇の波動である。ヤンは波動のする方向へ歩いて行く。

茂みの中をかき分けると、手のひら大の黒い石が姿を現した。

「これは……、お城の人に知らせ……」

しかし、黒い石を見つめているとだんだん目が離せなくなり、その石以外見えなくなり、ヤンはぽーっとしてきた。黒い石がまるでこの世でいちばん綺麗な宝石のように見えてくるのである。

ヤンはふらふらとその石に近づき、思わずそっと手に取ってみる。その瞬間――。

「うわああああああ!」

凄まじい闇の力が体に流れ込んでくる。ヤンは咆哮を上げ、のたうち回って苦しんだ。

やがてヤンの体は変異し始めた。手、指、爪が異常に伸び、足の筋肉は肥大化し、髪は逆だって白くなり、口からは大きな牙がはみ出してくる。

「何してるの! その石を離しなさい!」

叫び声を聞いて駆け寄ってきたのは紫色の鎧の男とオーガの女である。

「もう無理だ、てっかまき」

「殺るの?」

「このままだと他の村民が危険にさらされる」

「くそっ」

武器を構えるてっかまきとベルノルト。

ヤンは凄まじいスピードでてっかまきに近づくと、するどい爪で切り裂いてきた。後ろに飛び退いてかわすてっかまき。ベルノルトは間髪入れずに後ろから右手の剣でヤンの背中を斬り裂いた。ヤンは咆哮をあげ、振り向きざまに爪で攻撃してくる。ベルノルトは体勢を低くしてかわすと、下からベルノルトの顔を斬り裂いた。咆哮を上げるヤン。

「今だ! てっかまき!」

次の瞬間、てっかまきがはがねの大剣を袈裟懸けに振り下ろすとヤンは両断された。

「……」

てっかまきがヤンの体を調べると、死んだことによって変異は元に戻り、傍らに魔瘴石が落ちている。てっかまきが懐から特殊な布を取り出し、魔瘴石を包んで手に取った。

しかし、その瞬間、首筋に強い衝撃を受け、昏倒してしまった。

――

「う……」

てっかまきが目を覚ましたとき、ベルノルトの姿は無く、魔瘴石も無くなっていた。

「ベルノルト……ううっ」

てっかまきは血まみれで横たわるヤンの遺体の横で、ふらふらと立ち上がる。そのとき――。

「あ! ああ!」

声のした方向にとっさに振り向くと、村長が立っていた。

「ヤン! ヤン! 人殺しじゃああ!」

「くそっ!」

てっかまきはとっさに林の奥へ逃げ込み、姿を消した。

*****

「そ、そんな……、ヤンが魔物に……」

意気消沈して呆然とその場に座り込むレイガ。

「……ついに見つけたわよ。ベルノルト。あのときの借りを返す」

「今思えば気絶させずに殺しとけば良かったよ、てっかまき」

「魔瘴石を渡しなさい!」

「ククク……、もうじき死霊の軍勢が整う。そのとき、私は真にこの世界の支配者になるのだ。景気づけにちょうどよいわ! お前たちからまず殺してやる!」

ベルノルトが魔瘴石を天高く掲げると、体を闇の霧が包んだ。

「見ろ! このすばらしい体を! これが世界の支配者の姿だ!」

霧の中から姿を現したのは、紫色の鎧に紫色の兜を身につけ、4本の手に4本の剣を持った死霊の姿であった。

「行くぞ!」

ベルノルトはレイガに飛びかかると、4本の剣を同時に振り下ろした。とっさにレイガの前に躍り出て、4本同時に受け止めるてっかまき。

「レイガ! 気をしっかり持ちなさい! 殺されるわよ!」

レイガはその声に我を取り戻し、天高く飛び上がると、ベルノルトの顔面に飛び蹴りをかました。しかし、ベルノルトはびくともしない。次の瞬間、ベルノルトは口をあんぐりとあけ、火球を撃ち出した。まともに食らって吹き飛ぶてっかまき。

ベルノルトは間髪入れずに振り向きざまにレイガに斬りつける。レイガは体勢を低くしてそれをかわすと、飛び膝蹴りをベルノルトのみぞおちに食らわせた。一瞬動きが止まるベルノルト。てっかまきはその隙を逃さず、ベルノルトに対し、横薙ぎに斬りつけた。しかし4本の剣の前では斬撃はベルノルトの体に届かず、受け止められてしまう。

ベルノルトは1本の剣でてっかまきの斬撃を受け止めながら、他の3本の腕でてっかまきに斬りつけた。てっかまきはとっさに後ろに飛び退いてかわすが、腹に切り傷を負ってしまった。傷から赤い血がにじみ出る。

てっかまきの剣は大振りすぎて斬撃が当たらない。レイガの拳は当たるがダメージが少ない。2人は戦いあぐねていた。

ベルノルトは口をあんぐり開けると、レイガに対して連続して火球を撃ち出した。横に飛び退いてかわすレイガ。

「くそっ、ダメージが与えられない」

「同時に攻撃するわよ、レイガ」

「わかった」

2人は同時にベルノルトへ突進すると、波状攻撃を繰り出した。まず、レイガが攻撃し、動きが止まったところでてっかまきが攻撃する。それを繰り返しているが、やはりてっかまきの斬撃は届かない。

次の瞬間、ベルノルトは4本の剣でレイガを真正面から同時に斬りつけてきた。レイガはとっさに腕を横に広げ、4回の斬撃を受け止める。両手で2本を掴み、両の二の腕で2本を受け止めた。

「今だてっかまき!!」

その瞬間、てっかまきの剣がベルノルトの首を跳ばした。がっくりと倒れ落ちるベルノルト。そして、雪に赤い模様を作るレイガの血。レイガは両腕を失った。

ベルノルトの死体はしばらくすると黒い霧のように霧散した。

ベルノルトが死んだことで、死霊の軍勢も霧散し、戦争は終結した。

*****

――10日後。グレン城。

てっかまきたち隊員はバグド王から英雄の称号を授かった。レイガは重傷であったが、死霊から解放されて山を降りてきたランガーオ村の村民たちが上やくそうで応急処置をしたため、命は落とさずにすんだ。数日間安静にしたあと、てっかまきたちはレイガをつれてグレンへと帰った。

今はグレン城内にて盛大な宴が催されている。隊員たちは豪勢な食事と酒に舌鼓をうった。

「隊長はズルいドワ。ウチたちを置いて手柄を独り占めしたドワ」

座った目でグチグチをくだをまくケリー。

「まあまあ、金の増加分を我々に分けてくれるって仰ってるんですから」

ケリーをなだめるベルタ。

「それじゃあ足りないドワよぉ! 増加分ぜんぶ欲しいドワ~!」

「ほら、英雄の称号ももらえたことですし」

「称号なんかいらないドワ~!」

手足をバタバタさせてわめくケリー。

――グレン城。救護室。

両手に包帯を巻いて、ベッドに横たわるレイガ。その横で椅子に座っているてっかまき。

「本当にいいのか?」

「いいわよ」

「お前の借金は?」

「そんなのまたいつでも返せるし」

てっかまきはこの戦争で稼いだ金の取り分をすべてレイガに譲渡すると申し出ていた。

「私があなたの弟を殺したのは事実よ」

しばらく、2人の間を沈黙が支配した。やがて、レイガが口を開く。

「……ヤンは、苦しまずに死んだのか?」

「ベルノルトがつけた傷は浅かったし、私は一撃で両断したから即死だったわ」

「そうか……」

レイガはそれを聞くと、軽く笑って目を閉じた。

「なんだか、どっと疲れた気がする」

「そう」

「この5年間、お前を探すことだけを考えて生きてきた」

てっかまきは切なそうに目を落とす。また、2人の間をしばし沈黙が支配した。やがててっかまきが口を開く。

「これからどうするの?」

「村に帰るさ。どのみちこの体じゃ何もできない」

「そう」

「……すまなかったな。隊長さん」

それを聞いててっかまきは軽く笑った。

「あっ! 見つけましたよ! お師匠様!」

救護室に入ってくるなり、てっかまきに駆け寄ってきたのはギューである。

「な、何? お師匠様って誰よ」

「あなたですよ! さあ! 修行の旅に出かけましょう!」

呆気にとられるてっかまきを見て、レイガはクククと笑った。

「私は弟子は取らないわよ」

「ご冗談を! さあ、行きましょう!」

「よしわかった。まず、そこで腕立て100回ね」

「わかりました、お師匠様!」

ギューは床に伏せて腕立て伏せをし始めた。てっかまきはその隙に救護室をそっと抜け出し、一目散にグレン城から逃げ出した。

「ふう、終わりました、お師匠様……、あれ?」

ギューが部屋を見回すがてっかまきはいない。

「お師匠様は?」

「さっき出てったぞ」

「そんなぁ! お師匠様! 待ってくださ~い!」

その後、レイガは村に帰り、療養生活を送った。懸命なリハビリによって、義手を使って簡単な漁や農作業ならばできるようになった。3年後、てっかまきに1通の写真が届いた。そこには満面の笑みで船に乗っているレイガが写っていたという。

――てっかまきの旅はまだまだつづく。

あとがき

みなさま、最後まで読んでくださってありがとうございました。

いかがだったでしょうか?

読んでわかるとおり、地名が同じなだけでドラクエの世界観とはまるで異質です。

どちらかというと、ベルセルクとかスカイリムとかあの辺の世界観から影響を受けてます。

構想の段階では、ベルノルトがギューの父親だったとかそういうプロットも考えていたのですが、長くなりすぎるのでやめました。

2万文字はちょっと長すぎたね。

次回作は長くても1万文字で収まればいいなぁと思ってます。

また追々、書いて上げますのでお楽しみに。

それでは今日は失礼します。

See You!

コメント

  1. フェアリー より:

    黙々と全部読ませていただきました♪
    こういうのけっこう好きなんで面白かったですよ〜♪
    また次回作はあるのかなw
    面白い作品、ありがとうございます♪
    まきまきさんのファンになりましたw

    • てっかまき より:

      読んでくれてありがとう!
      次回作はいちおう考えてます。
      また読んでね~!
      これからも小説家まきまきをよろしく!

  2. ハルカ より:

    うん、今回のもおもしろかった(*´▽`*)
    フォルノーの博多弁がいい感じw
    読み応えあってすごくいいね♪

    • てっかまき より:

      読んでくれてありがとー^^

      フォルノーの言葉は実は博多弁じゃないのよ。
      福岡の言葉は博多、北九州、筑豊、筑後で違うんだけど、他地域の人でもわかりやすいように全部混ぜこぜにして、ところどころ標準語を入れてます。だから博多の人が読むと違和感あるかもです。
      最初は大阪弁にしようかと思ったんだけど、どんな言葉かわからなかったから、私がわかる福岡弁にしました。

      結局、死んじゃったけどね。フォルノー。
      最初は全員生かそうと思ってたんだけど、戦争だから戦場の現実みたいなものも書いたほうがいいかなと思って、リリアンヌとフォルノーには死んでもらいました。

      読み応えがあったなら、よかった^^

  3. かりん より:

    はぁぁ~~~・・・
    一気に読んでしまいました!
    夢中になって電車乗り過ごしたわよーwww
    読みごたえありました。
    キャラが、頭の中で絵になって浮かんできましたよぉ。
    キャラ設定流石です!
    また楽しませて下さいね☆

    • てっかまき より:

      読んでくれてありがとう!
      楽しんでいただけたなら良かったです。
      一応、次回作は考えてますが、ここまで長くはならない予定です。
      楽しみに待っててね!

  4. マリ より:

    やっと読めた!
    たしかに、ドラクエのパラレルって感じの世界観だ…
    このドラクエはゾンビゲーじゃないんだよね。
    手を切断されても戦わなきゃいけない者の心境を考えさせられたわ…
    Skyrimとかは、切断系デフォルトだからサラッと流しちゃうけど…
    しかし、随所にドラクエらしさもあってよかった!
    ベルノルト戦は、バージョンのラスボス戦で脳内再生されたし!
    こういう世界観のドラクエも遊んでみたいな~。
    あとプクたん…ご冥福を祈ります(´;∀;`)

    • てっかまき より:

      ゾンビゲーだと緊張感がなくなるからね。
      だから私の小説では「ホイミで傷は治るけど欠損部分は戻らない(命も含めて)」というふうに考えてます。ザオも無い。

      彼らは戦い慣れてるからいつでも死ぬ覚悟できてるのよね。だから手が無くなっても逃げない。

      プクたんはね~……だれ死なそうかって考えたときになんとなく殺しちゃったねw

  5. ろざみー より:

    おもしろかった~☆\(^o^)/

    過去にそんなことがあったなんて~。

    文才すごいね♪(*^O^*)/

    • てっかまき より:

      楽しんでもらえたなら良かった~。
      結構これ設計段階では適当で、いきあたりばったりで書いていきました。
      途中でどんな展開にしようかすごい悩んだよw