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【小説】RPてっかまき物語~少女と謎の占い師~・後編

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――3日後。宿屋にて。

ミィアの状況は思わしくない。あれから水以外はほとんど何も口にせず、寝たきりである。てっかまきはずっと傍らについている。いつ後追いするかわからないのである。

「てっかまきさん……」

「ん?」

「私……、母さんを追い詰めてた」

てっかまきは何も言えない。それほどあの遺書は強烈であった。

「私、死にたい」

「とりあえず死ぬのはやめろ」

ミィアはこの3日間、頻繁に死にたいという言葉を繰り返した。てっかまきにもこれ以上どうしていいかわからない状況だった。教会の神父に来てもらったりもしたが、ミィアの容態は回復せず。

「私の父さんも自殺したけど、私もこうやって生きてるよ。だから死ぬな」

ミィアは何も言わない。てっかまきは借金という外的要因があるが、ミィアの場合、自身が自殺の引き金なのだ。その精神的苦痛は異質のものである。

そのとき、部屋の扉がギィと開いた。てっかまきはそちらのほうに振り向く。

見ると、ソフィが中に入ってきた。

「あんた……!」

「失礼します。とても悲しい、筆舌に尽くしがたい苦しみの声が聞こえたもので」

ソフィは勝手に入り込むと、ベッドの傍らに座った。

「……、何があったのかお話いただけませんか? 話すだけでも楽になるかもしれません」

てっかまきは占いなど信じてはいなかったが、他に何も手立てが無いため、ソフィに頼ってみることにした。

「母さんが……、自殺したの」

ソフィは今までにあったことを少しずつ事細かに話した。

「そうですか。しかし、それだけではあなたが原因かどうかわからないではないですか」

「えっ」

「遺書には『あなたの笑顔が辛い』としか書いてないんでしょ? 『あなた』が本当にあなたを指すのかわかりません」

無理があるとてっかまきは思った。あの遺書は明らかにミィアに向けて書いたものである。

「でも、……私、確かに母さんのためにしか笑ってなかった」

それに対してソフィは何も言わない。

「私、自分のために笑ったことなんて1度もない……」

「これから笑えば良いのです」

「でも私は罪を犯した。母さんを自殺に追いやってしまった……」

「おそらくこの事実は一生忘れられないことでしょう。しかし忘れる必要は無いのです。あなたに今必要なのは現実を受け入れ、今を生きることです」

(なんで、いつまでたっても占いをしないんだ……?)

てっかまきは不思議に思いながら見ていた。しかし、ソフィはずっとミィアと対話を続けている。

「1つお伽話をしましょう。昔、ある1人の女が居ました。女は優しくて誠実な男と結婚し、子をもうけ、幸せに暮らしていました。しかし、あるとき子供が事故で死んでしまいます。女は死体となった我が子を抱え、泣きわめきながら数々の家の門を叩きました。『うちの子を助ける薬をちょうだい!』と。しかし、どこの家にもそんなものはありません。子供は死んでいるのですから。他の家の方に諭されても『いえ、私の子供を助ける薬が必ずあるはずだ』と聞きません。『私は薬を持ってないけど、あの人なら持ってるかもしれない』とある家の方が言いました。女は言われた通りの人物のところに行きます。その人物とはアストルティアで随一の高僧と言われる僧侶でした。僧侶は女に言います。『薬を作るには材料がいるから、やくそうを1つ持ってきてくれ』と。ただし、『1度も死人を出したことのない家から貰ってくるように』と言いました。女はすぐに様々な家の門を叩きます。『すみません、お宅は今まで死人を出しましたか?』『去年じいさんが死んだな』『すみません、お宅は今まで死人を出しましたか?』『10年前に旦那が死んだよ』 1日じゅう家々を回ったところで母親は気づいたのです。『死人が居ない家なんかない。みんな死と向き合っている』と」

「それはミィアへの慰めにはならないでしょ。他の家がどうであれミィアの悲しみは変わらない」

「そういうことを言っているのではありません。母親は気づいたのです。『私は生きている子供だけを必要として、死んだら価値がないと考えていたのではないか? だからこの子を生かすことに固執していたのではないか? 死んでいたってこの子はかわいい我が子だ。死んだこの子にいらないと言い続け、殺し続けてきたのは私だったのではないか……?』と。生きていようが死んでいようが、どのような原因で死のうが、あなたの大切なお母さんではないですか? ならばせっかくお母さんから授かった命を失ってしまってよいのでしょうか?」

そこまで聞いたミィアはゆっくりとベッドから上体を起こした。

「ミィア……!」

「悲しんでいけないわけではないんです。悲しんでもいいのです。それはその人が大切だった証です。大切なのは悲しみを背負い、それを感謝に変え、生きていくことです」

ミィアの頬を大粒の涙がつたった。

「さて……、せっかくですから、あなたとお母さんとの今後の関係を占いましょうか」

ソフィは懐からタロットカードを出し、軽くシャッフルして裏返しに3枚テーブルに並べた。

「過去、現在、未来を占います。まずは過去から」

ソフィは1番左のカードを開ける。

「太陽……。生命力や満足に満ち溢れています。かなり幸せな関係だったようですね」

「はい。とても幸せでした」

「では、現在のカード」

ソフィは真ん中のカードを開ける。

「死神」

「し、死神……!」

「落ち着いて。死神は必ずしも悪いカードではありません。この絵柄を見て下さい。死神は確かに目の前の人に鎌を振るい、死をもたらしています。しかし同時に死神が通った後には草木が生え、遠くには太陽が登っています」

ミィアはカードに顔を近づけて真剣に絵柄をみている。

「このカードは生まれ変わり、再生することを意味します。たった今、あなたのお母さんは生まれ変わったのです。生きていても、死んでいても、どんな状態でもあなたに愛され続ける存在として」

ミィアはそれを聞くとバッと勢い良くベッドから飛び出た。

「ミィア!」

「てっかまきさん! 私、村へ戻る! 母さんに会いたいの!」

「あっ、ちょっと! ミィア!」

ミィアはドアを勢い良く開けて、部屋から飛び出していった。てっかまきも慌ててそれを追う。ソフィは半開きになったドアをしばらく見つめていた。

(未来のカードを見ないまま行ってしまった……)

宙を見つめながらじっと何かを考えるソフィ。やがて、パッと3枚目のカードを開ける。

(世界……。2人の関係はどんな苦難にも耐えうる不滅の鎖として完成する……か)

*****

――2時間後。ミィアとてっかまき。母の墓前にて。

「本当にもう大丈夫?」

「うん」

ミィアはくったくのない笑顔を見せた。

「占い師さんのおかげで、私がどうしたらいいのかわかった」

てっかまきは墓標に目をやる。

「母さんは死んじゃって、私が原因になったかもしれないけど、それでも母さんが好き。だから私は生きていく」

「そうか」

「私、家を片付けに行くね」

「あ、待って、手伝うから」

2人はミィアの家に赴く。固まった血だまりにしっちゃかめっちゃかになった家具。床や壁の血を拭き取り、家具を1つ1つ掃除していく。

テーブルを拭いていたてっかまきは、置いてあった例の遺書を手にとった。

『あなたの笑顔が辛い。あなたが頑張っている姿を見るのが辛い。ごめんなさいミィア』

そう書かれた遺書を改めて見て、てっかまきはため息をついた。

「ん?」

てっかまきは異変に気づく。

「なにこれ、2枚重なっている……?」

よく見ると遺書は2枚の紙が血でぴったり重なっていた。てっかまきは破かないように慎重に血で固まった紙をはがしていく。

やがて1枚目の紙の下から2枚目の紙が姿を現す。そこにはこう書かれていた。

『私は父さん以外の人を好きになってしまった。でも父さんの笑顔が、父さんが病気と闘ってる姿が、どうしても頭から離れないの。ミィア愛してる』

「ミィア、これ見て!」

てっかまきは2枚目の紙をミィアに見せる。ミィアは何も言わずにしばらくそれを見つめていたが、やがて目をつむり、紙をギュッと胸に押し付けた。

「辛かったんだね母さん。でも、もう大丈夫よ。私がずっと一緒だからね」

「ミィア……」

「てっかまきさん、私、これからどういう道を進むかじっくり考えたいと思う」

「そうか……。そうだ、この100万G持って行ってよ。借金が残ってるでしょ?」

ミィアはくったくのない笑顔を見せた。

「ありがとう、てっかまきさん」

「本当にもう大丈夫?」

「あっ!」

「なに? なに? どうした!?」

「……お腹すいた」

*****

てっかまきはミィアと一緒に食事を取った後、別れを告げ、アズランへと戻った。いちおうミィアの世話は隣家の村人に頼んでおいた。

(はぁ。また文無しか)

そんなことを考えながらとぼとぼと町を歩いていると、

「あっ!」

てっかまきはソフィとすれ違った。てっかまきはすすすす……とソフィに擦り寄る。

「あの、すみません」

「はい」

「あのー……、私の金運を占ってもらえませんかね?」

「いいですよ」

「へへへ、じゃあ早速宿の方へ」

――てっかまきの旅はまだまだ続く。

あとがき

みなさん如何だったでしょうか。

オカマバー桃兎に関してはいつか登場させたいと思っていたのです。

実在のものをそのまま登場させるとか異例のことなんですけどね。

今後、実在のイベントや人物が登場することは無いと思います、たぶん。

ソフィの占いに関しては割りと適当です。何分素人なもので。レッズさんが見たら怒られるかもしれませんw

レッズさんの占いはあんなものじゃないです。レッズさんはわりと情報分析に重きを置いて一般常識からアドバイスする感じなのて、ソフィのような宗教的な説話をしたりはしないです。

ソフィが言っていた子を亡くした女の話は仏教の説話を元にしています。

この小説を書くに当たって、ミィアを如何に立ち直らせるかというのが最大の難関でした。

苦労しましたが、いちおうそれなりのものになったんじゃないかと思ってます。

というわけで、今回の小説はこれで終わりです。

次回作は何も考えてないですが、まあ、そのうち考えます。

乞うご期待。ということで、この辺で失礼します。

See You!

コメント

  1. フェアリー より:

    おぉ〜すっかり読みいってしまったw
    その場が想像できるw
    オカマバー出たときは笑いましたが、男汁で材料に考えさせられました…
    ほかの作業できないくらい読んでる最中引き込まれ、次回が楽しみになりました♪

    • てっかまき より:

      読んでくれてありがとう^^

      桃兎はねー、登場させてみたかったのよ。男汁の原料を考えたらいけないとか、ほぼ現実のままw

      また次回作楽しみにしててねー。

  2. ハルカ より:

    作中に桃兎が出てるΣr(‘Д’n)
    今回は地の表現が多目…なのかしら…?仏教の説話とか東洋と西洋の混ざった感じがドラクエらしい感じ♪
    次回作も期待(*´▽`*)

    • てっかまき より:

      地の文が多めってよくわかったね。すごい。
      確かに他の3作と比べて若干多めです。

      ソフィの占いに仏教を選んだのは、人の人生を立ち直らせるといえば、やはり仏教かなと。

      次回作も乞うご期待!

  3. ピンクの人 より:

    いつも拝見しています!
    桃兎出てましたね!笑
    小説に出れるとは感無量です!
    ロールプレイ小説いいですねー!もう次回作が待ち遠しいです!

    • てっかまき より:

      読んでいただいてありがとうございます。
      桃兎は好きなお店なので、前々からゲスト出演させたいとおもっていたのです。
      勝手に借りました、ごめんなさい。
      次回作はまだ何も考えてませんが、そのうち何か考えようと思います。
      ぜひ次回も読んで下さい♪