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【小説】竜帝の野望・外伝

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まえがき

みなさんこんにちは。

てっかまきです。

昨日まで竜帝の野望の本編を上げてましたが、完結しましたので、今日は外伝を上げたいと思います。

外伝と言っても3500文字程度の掌編です。

ですが、イサとプロメトスの因縁は書ききったと思ってます。

では、ご覧ください。どうぞ。

⇒竜帝の野望・本編

竜帝の野望・外伝

クヌルド歴889年――

帝都、宮殿の最上階ホールにて1人の男と1人の女が戦っている。

「なぜディアテュヌスを殺したの?」

イサが尋ねる。プロメトスはそれに答えず、今度は物凄い速さの袈裟斬りを繰り出した。しかし袈裟斬りはまた宙を斬るだけだった。イサは微動だにしてないのに。

(こいつ……俺の体を操っている……?)

「なぜディアテュヌスを殺したの?」

もう一度、イサが尋ねる。プロメトスは剣を下ろすと、

「公爵閣下はここを登っている途中、”竜帝を傀儡として利用し、帝国を治める”と言った。だから殺した」

と答える。イサには話が見えてこない。

「なぜ竜帝を傀儡として利用するのがダメなの?」

プロメトスはイサを睨みつけている。

「お前も竜帝の一族だそうだな」

「……そうよ」

「竜帝の血脈は根絶せねばならない!」

そう言うとプロメトスは今度は下段から先程よりも更に速い逆袈裟を繰り出した。しかしイサには当たらない。どうしても狙いが外れてしまう。

「お前は何なんだ! なぜ死なないんだ!!」

プロメトスは苛立っている。

「俺は……! 竜帝の血脈を……竜帝の野望を根絶しなければいけないのに!」

「竜帝の野望?」

プロメトスは必死だった。ただただ自分の使命感、それだけが彼を動かしていた。

「なぜ、そこまで竜帝にこだわるの?」

「うああああああああ!!」

プロメトスは雄叫びを上げるとイサをめちゃくちゃに斬り刻みはじめた。しかし、例によって全ての斬撃が外れてしまった。さすがにプロメトスも息が上がってきたようで、剣を構えながら後ろに後退りすると背中から壁に寄りかかって休み始めた。

「あなたでは私には勝てない……。絶対に。だから教えて」

プロメトスは肩で息をしている。

「あなたはいったい誰なの?」

イサが尋ねる。すると、プロメトスは剣を下ろし、話し始めた。

「俺は……」

※※※※※

クヌルド歴881年、ドラグランカ大陸のとある町――

「銀貨5枚になります。はいお釣り! ありがとうございました!」

プロメトスは元気よくお客さんに挨拶した。プロメトスは町の武器屋であった。プロメトスには夢があった。それは自分の家を買うこと。今は借家住まいであった。プロメトスは夢の実現のため一生懸命働いていた。

ある日、いつものように仕事から帰ったプロメトス。

「あっ、パパ」

娘のラナは嬉しそうな顔をして言う。

「今日学校で算数の時間によくできたねって先生から褒められたんだよ」

「そりゃ良かったじゃないか。ラナはがんばり屋さんだからな」

ラナはパパにも褒められて嬉しそうな顔をして笑った。

「今日はうんとごちそうにするから」

妻のフェルルも笑いながら言う。どこにでもある幸せな家庭であった。ある1点を除いては――

――その日の夜。ラナが寝静まったころにプロメトスとフェルルが話している。

「ねえ、プロメトス。私たちいつまで隠さなきゃならないの?」

「ずっとだ。一生隠さなければならない」

「そんな……自分たちの種族に誇りを持って生きられないなんて辛すぎるわ」

プロメトスはじっと考えた。何時間か考えたあと、妙案を思いつく。

「フェルル。俺は帝都に行こうと思う」

「帝都?」

「ああ。竜帝陛下ならアトフィリアへの迫害を無くしてくれるかもしれない」

アトフィリアとは帝国領土内にすむ種族で人間に近い形態をしているが、人間とは交配出来ない全く別の種である。背中に赤い斑点があるのが特徴。アトフィリアは人間から迫害や弾圧を受けており、人間社会の中に隠れ潜んで人間のふりをして生活していた。

「アトフィリアが迫害されるのは神がそう作ったからだ。神の思し召しなのだ」

プロメトスはそう思っていた。だが、プロメトスには1つの希望があった。竜帝である。この国を治める竜帝陛下ならきっと何とかしてくれるのではないか。そう思った。

「明日、親方に言って休みをもらってくる。明後日、帝都に行くよ」

「親方にアトフィリアだって言うの!?」

「そんなこと言わないさ。帝都へ知人を訪ねに行くとか適当に言い訳作るよ」

この町は帝都に非常に近い場所にあり、3日も歩けば帝都に辿りつけた。

明後日。

「じゃあ、行ってくるよ」

プロメトスは帝都へと赴く。帝都へ着いたプロメトスは真っ先に宮殿に向かった。門を守っている兵士に嘆願書を渡そうとする。

「ダメだ、ダメだ! 嘆願書を陛下に渡すことは禁じられている」

「なぜですか!?」

「なんででもだ! 帰れ」

プロメトスは粘った。何時間経ったかわからない。しかし、禁じられているの一点張りだった。取り付く島もなかった。仕方なくプロメトスは諦めた。

(せめて図書館でアトフィリアについて調べて帰るか……)

プロメトスは帝都内にある帝立図書館へと赴く。そして、アトフィリアに関する文献を調べる。迫害を防ぐ手がかりらしきものは見つからない。何冊の本を読んだだろうか、おそらく5~6冊は読んだであろう。でも何も見つからない。諦めて帰ろうとしたその時、プロメトスは1冊の本を発見する。

“アトフィリア迫害の歴史”

これは手がかりになるかもしれないと思い。最初の1行目を読んでプロメトスは愕然とした。

“アトフィリア迫害は第215代竜帝ブルアフォジ・アレドラードが作ったものである”

(竜帝陛下が迫害を作った……?)

プロメトスは読み進めていく。

“ブルアフォジは民衆の鬱憤をアトフィリアに向けさせ革命を防ぐため、『アトフィリアは人間よりも劣った種である。この種に対する犯罪は一切無罪とする』という勅令を出した。全ては竜帝の血脈を守らんがためである。その後、第218代竜帝ララクーシク・アレドラードの時代に勅令は取り消された。しかし、民衆たちの迫害は止むことはなかった”

(竜帝の……血脈?)

プロメトスは肩を落として帰路に着いた。

(もう……打つ手立ては無いのだろうか)

夜、家に着いたプロメトスは異変に気づく。明かりが点いていない。家の中を見てプロメトスは驚愕した。しっちゃかめっちゃかに荒らされている。

(何があった!? ラナは!? フェルルは!?)

プロメトスは必死に町中を探した。しかし2人はどこにも居なかった。プロメトスは町の外を探してみることにする。そして、町の近くの河原で2人の姿を見つけた。ボロボロになり、横たわる二人の姿を。

「ラナ!! フェルル!!」

プロメトスはラナを抱きかかえながらフェルルに声を掛ける。

「フェルル!! 何があったんだ!!」

「う……アトフィリアだって……バレたの」

「バレた!? なぜ!?」

「ラナが学校で……友達と……ふざけてるときに……背中を見られ……て……」

フェルルはそれ以降言葉を発することは無かった。

「パ……パ……」

「ラナ!!」

「アトフィリアって……幸せになれ……ない……の……?」

プロメトスの慟哭が河原に響いた。

※※※※※

「その後、俺は、独学で剣を学んだ。血の滲むような特訓をした」

プロメトスは胸元からペンダントを取り出し、ブチッと首から引きちぎると、蓋を開けて中を見つめ、ギュッと握りしめた。娘の遺恨を晴らそうとする父と、父の遺言を守ろうとする娘。2人は誰もいない広いホールで対峙する。

「自らの血脈を永遠に存続させる……それは野望だ。俺は……竜帝の野望を根絶し、アトフィリアが幸せに暮らせる社会を……」

そこまで言ったとき、イサは剣を抜き、プロメトスの喉を貫いた。血を吹き出してプロメテスは倒れ、放り出されたペンダントがイサの傍らにぽとりと落ちる。イサがそれを拾い蓋を開けると、小さな女の子の写実画が入っており、蓋には”ラナ”と書かれていた。イサはしばらくそれをじっと見つめていた。

「竜帝の野望……」

イサは悲しそうな表情で呟いた。

その後、イサは第240代竜帝として即位。イサは即位した後、即座にアトフィリア保護令を出し、弾圧や迫害に対して厳しい刑罰を課した。その結果、アトフィリアへの迫害は減った。少なくとも表向きは。

――後日夜、宮殿のバルコニーにて。

「アトフィリア問題はこれで解決ですか?」

女官長のエールシスが問う。

「たぶん……これだけでは解決しないと思う」

イサは答える。

「解決しない? なぜ?」

「人間の心なんて、そんなに簡単に変わるもんじゃないから」

イサは真剣な眼差しで言った。

エールシスはしばらく黙っていたが、やがて何も言わずに宮殿内に戻っていった。

(あのとき、私は何も言わずにプロメトスを刺した。あのとき何を言えば良かったのか……未だにわからない……)

切なそうな表情をするイサの顔に夜風がさらさらと吹き、後ろに束ねた緑色の髪を揺らした。

翌日、謁見の間にて――

「誰か! ブトンフを呼んで!」

「かしこまりました陛下」

側近は急いで呼びに行く。

「お呼びでございましょうか陛下」

首相ブトンフは跪いて言う。

「ちょっと頼みたいことがあってさ。帝都の片すみに、小さいやつでいいから、碑を1つ作ってもらいたいんだけど」

「小さい碑ですか? その程度ならすぐに出来ますが」

「それでね、碑の下にこれを埋めて欲しいんだけど」

イサはロケットペンダントを差し出す。

「これは……何のペンダントですか?」

「ブトンフが知る必要ないんだよ」

「で、碑には何と刻めばよろしいので?」

「”幸せを”と」

「”幸せを”ですか。では、すぐに取り掛かります」

ブトンフは一礼して出て行く。イサは玉座にもたれかかり、目を閉じた。

――イサには亡き父ペルセシャスが自分に試練を課しているように思えた。

竜帝の野望外伝・完

あとがき

みなさん如何だったでしょうか。

これで竜帝の野望は全て完結です。

1週間で上げてきましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

竜帝の野望は実は続編もあるんですよ。

「竜帝の野望2~ブア島の大戦~」というやつなんですけどね。

内容としては、「竜帝国とゼレルシュ王国の間に戦争が勃発し、竜帝イサはそれに勝てるのだろうか」みたいな感じなんですけど。

これも上げようかと思うんですけど、いつ上げるかが問題でね。

あんまり小説ばっかり上げてたら、イベント好きの人に申し訳ないからね。

とりあえず明日からはイベント情報に戻そうかなと思います。

続編は機を見ておいおい上げますわ。

みなさんお楽しみにしといてください。

では、今日はこの辺で失礼します。

See You!

コメント

  1. フェアリー より:

    そういうことでしたか~
    アトフィリアの生活を変えるために下についていたというわけだったんですね〜
    謎が1つ解決した感じw
    続編はまた機会があったら乗せてください♪
    個人的に楽しみにまってますw

  2. ハルカ より:

    謎が解けてスッキリ♪
    うん、今回もおもしろかった(*´▽`*)
    処女作…ちょっと気になる(‘-‘*)

    • てっかまき より:

      処女作はねー。
      このあと、小説に関する雑談を書こうと思っていて、そこで話すから待っててw