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【小説】放浪の帝イサ・第8話-暗殺者-

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みなさんこんにちは。

てっかまきです。

今日のお話はねー……、お蔵入りさせようと思ってたやつなんですよ。

あまりにも出来が良くないんでね。

っていうか、小説になってないw

でも、新しい奴がまだ書き上がってないんで、載せることにします。

ではご覧ください。どうぞ。

第8話-暗殺者-

――ある日の昼、帝都、宮殿、謁見の間。
「えー、次に帝国全土の総生産ですが貴族たちの報告を総合すると……」
イサは退屈そうに宰相ブトンフからの報告を聞いていた。久しぶりに帝都に様子を見に帰って来たのである。このような報告を受けるのも国民のためには大事な仕事なのだが、イサはこの手の仕事がどうも苦手だった。
「項目としては小麦の生産が伸びてまして、セクメオン国との貿易高が……」
「経済状況はもういいよブトンフ。前年から増えてんでしょ。それだけ聞けばいい」
「は、左様でございますか。では次にセクメオン国、ゼレルシュ王国との外交関係についてですが……」
「そんなのより貴族たちの動向はどうなってるの?」
「貴族たちの動向? と申しますと?」
「造反の情報は掴んでない?」
「えー、少々お待ちください……」
ブトンフはペラペラと資料をめくっている。イサは貴族の造反を何より恐れていた。実際に2代前の竜帝であったイサの父親の時代に貴族の造反が原因で2回も内乱が起こった。イサが即位してから帝国の直轄領を大幅に増やしたため現在では全ての貴族たちが結託しても帝国軍を脅かすことはないが、かならず内乱で多くの民が死傷する。イサはそれを恐れていた。
「えーっと、現状では造反の兆候は認められません」
「ふぅん。貴族制廃止の件はどうなってるの?」
「……その件についてはかなりの大事業になりますので、まずは帝国軍の軍備を整えているところです」
「かなり造反者が出るってことが予想されるってか」
「はい。何しろ貴族たちからすれば自分たちの領地を帝国に取られることになりますので」
イサは玉座の背もたれにもたれ掛かって腕組みをし、目を瞑り、しばらく考えていた。
「……わかった、ブトンフ。貴族たちと戦争も辞さずという構えで進めて」
イサは一時的に内乱になってでも恒常的な内乱の脅威を取り除いた方がいいと考えたのである。
「どれぐらいで廃止できそう?」
「最低でも3年はかかるかと」
「そうか、わかった。下がっていいよ」
「ダメです。まだご報告の途中です。陛下はタダでさえ普段、帝都にいらっしゃらないのですから、こんな時こそしっかりと国内の状況を知って頂かなければ」
「もういいって」
「ダメです」
結局、ブトンフの報告は深夜まで続いた。
イサは面白くもない報告を長時間聞かされて疲れきってしまい、寝室に戻るとすぐにベッドに倒れこんだ。イサが熟睡し夢を見始めたころ、黒い影が宮殿バルコニーに降り立った。影は物音1つ立てずにイサの寝室まで来ると、ドアを静かに開けた。影が静かにイサに近づいていく。そして、音を立てないようにゆっくりと短剣を抜くとイサの心臓に突き刺した――つもりだったが、イサは突き刺す寸前に飛び起きていた。一瞬の殺気で気づいたのである。
「私に全く気配を感じさせずにここまで近づくって何者? あんた」
暗いため、影だけで顔がよく見えない。だが体型から男であることはわかった。割りと小柄で痩せ型の男である。イサは飛び起きる際に枕元にあった剣を取ったつもりだったが取れなかった。よく見ると影の手に剣が握られている。短剣で攻撃される前に奪われたのだ。影はイサが剣に気を取られた一瞬の隙を突いて音もなく後ろに回りこみ背中からイサの心臓を狙って突いた。イサは反射的に体を捻って紙一重で避けた。イサの肩には切り傷が出来、血が滲んでいる。イサの技を持ってしても影の動き、そして突く動作を見極めることはできなかったのである。
(こいつ、斬撃操作法が効かない)
斬撃操作法とはシンカゲ流の奥義の1つで微妙な重心の動き、視線の動き、姿勢の変化によって自分の動く方向を相手に錯覚させ攻撃を逸らせる体術である。斬撃操作法が効かなかったことによる一瞬の動揺、影はまたもやその隙を突いて音もなく背後に回りこむと背中から心臓を突いた。またイサは紙一重で横に飛び退いて避けたが今度は左のニの腕を深く切られてしまった。イサの腕をだらだらと血が伝う。イサは影の方に向き直ると、両足を少し開いて自然と肩の力を抜き、目を瞑った。影はしばらく動かず、そのままの状態で対峙したが、やがて影は瞬きする間に突き刺さるような速度で正面からイサの心臓を狙った。イサの心臓に短剣が迫る。しかし、イサは動かない。そして、ついに短剣はイサを突き刺した。――イサの左肩を。
「え!?」
影は思わず声を上げた。その瞬間、イサは影の手を掴んで背負い投げで床に叩きつけた。イサは影が思わず放り出したイサの剣を拾う。影は素早く起き上がって間合いを取り、イサに尋ねる。
「今のは何だ? 斬撃操作法も使わずにどうやって俺の剣を逸らした?」
影の顔は暗くて見えないが、声の調子から明らかに想定外の事態に焦っているのがわかる。
「そりゃあ極意だから教えられないわよ」
イサは笑いながら言う。影は黙っている。
「あんた、名前は?」
イサが尋ねながら剣を抜く。影はしばらく黙っていたが、何も言わずに窓から逃げてしまった。しばらくイサは剣を抜いたまま窓をじっと見ていた。しかし、やがて傷を押さえてがっくりと崩れ落ちてしまった。その後、騒ぎを聞いて駆けつけた副女官長レリィが倒れているイサを発見し、すぐに侍医を呼んだ。
イサの腕の傷は縫合が必要なほど深かった。肩の傷はそれよりもさらに重傷で、短剣が肩を貫通しており鎖骨にひびが入っていた。レリィが見守る中、侍医が治療を始める。
「陛下、お痛いでしょうがどうか我慢して下さい。……では失礼します」
侍医はイサのニの腕に縫合針を突き刺した。イサの顔が苦痛に歪み、思わず声が出る。
(なんで戦闘中は痛くないのにこういうときは痛いんだろう)
イサはそんなことを考えていた。侍医は二の腕を縫合し終わった後、今度は肩の傷を縫合し、肩が固定されるようにキツめに包帯を巻いた。
「添え木とかしなくていいの?」
イサは侍医に尋ねた。
「肩の場合、添え木では全体を固定できないので包帯をキツめに巻くほうが良いのです」
「へえ」
「全治1ヶ月というところですね。何かあれば仰って下さい。すぐに馳せ参じますので。では失礼します」
侍医は医術道具を片付けると一礼して出て行った。
「……いくら剣を取られたとはいえ陛下にこれだけの深手を負わせるなんて」
レリィは俯きながら言う。
「レリィ、シェナを呼んできてくれる?」
「え……でも、陛下、平民をここに入れるのは……」
「急ぎの用事だからいいのよ」
シェナとは情報省に所属している女で、イサから信頼されている密偵である。
「シェナならもうお呼びしましたよ陛下」
女官長エールシスがシェナを連れて入ってくる。
「さすが、エールシス、わかってるね」
「お呼びですか? 今、夜中なんですけど、陛下」
シェナはあくびをしながら言う。
「ちょっと! あんた無礼でしょ!」
レリィがシェナに食って掛かる。
「いいのよレリィ。ねえシェナ、ちょっと調べてもらいたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「さっきここに入ってきた刺客を誰が雇ったのか調べて欲しい。内密にね」
「刺客が入ったんですか?」
「そう、この傷はそいつにやられたのよ」
「どんな刺客ですか?」
「小柄で痩せてて短剣を持ってる男」
「わかりました。じゃあ、刺客の正体も調べますね」
「いや、それはいい。必要ない情報だから」
「……そうですか。わかりました。ではさっそく取り掛かります」
そう言うとシェナは礼もせずにスタスタと出て行ってしまった。
「刺客の正体は必要ない情報なんですか?」
エールシスがイサに尋ねる。
「いや、必要よ。でも、調べる過程で必ずシェナに危険が及ぶから。あいつ危険だって言ったら行きたがる性格だからさ」
「ああ、そういうことですか」
「レリィもエールシスも下がっていいよ」
イサはそう言って目を閉じた。
「おひとりで大丈夫ですか? 人を付けたほうが……」
「大丈夫よ。行くわよ」
心配するレリィをエールシスが連れて行く。部屋から2人が居なくなった途端、イサは痛みに顔を歪ませた。
翌日、昼。謁見の間。
「えー、次に、治安の状況ですが、帝国全土の犯罪件数は貴族たちの報告によると……」
「……ねえ、ブトンフ、もう勘弁してくれない? 私、けが人なんだけど」
イサはブトンフの近況報告を延々と聞かされうんざりしていた。そこに側近が血相を変えて入ってくる。
「ご報告中、失礼します! 陛下、先ほど門番の兵士から連絡がありまして、刺客を雇った黒幕が出頭してきたと」
イサの表情が険しくなる。
「……誰が来たの?」
「帝国軍のカエタルという少佐です」
より一層表情が険しくなり若干首を傾げるイサ。やがて2人の兵士に両脇を抱えられてカエタルがやってきた。兵士に促され跪くカエタル。鎧を脱がされ、白いシャツとタイツ状の下着のみである。年の頃は35歳前後、少佐にしては若い。肉体は特に逞しいということはなく普通。その辺の町で店を経営したりしていてもおかしく無さそうな風貌である。イサはしばらくじっとカエタルの顔を見ていたが、カエタルは俯いたまま目を合わせようとしない。
「こんなに早く出頭してきた理由は?」
イサはカエタルに尋ねる。だがカエタルは何も言わない。イサも黙っている。しばらくするとカエタルは目は伏せたままではあるが、軍人らしい凛とした声で話し始めた。
「クーデターが失敗した以上、これ以上の悪あがきは軍人の恥です。潔く死罪になることで晩節を汚さないようにしたいのです」
イサは軽く笑っている。
「なんで私を殺そうとしたわけ?」
イサにそう問われると、カエタルは俯いたまま話し始めた。
「この国は竜帝陛下によって全ての権力が握られ民は圧政に苦しんでいます。今こそ竜帝陛下を打倒し、民による共和制を実現すべきと思い、事に及びました」
鼻で笑うイサ。
「なんで軍人がクーデター起こすのに自分の部隊を使わずに外の暗殺者なんか使うわけ?」
カエタルはしばらく黙ったが、やがてイサの目を見て言う。
「私が持っている部隊は歩兵およそ1000人。それだけでは陛下に勝てるかどうかわかりかねましたので」
イサはカエタルの目をしばらくじっと見ていた。カエタルも目を離さない。
「……牢に入れといて。逃げないようにね」
「え!? 処刑しないんですか?」
ブトンフが驚いて言う。
「とりあえず牢でいい。今はね」
外に連れて行かれるカエタル。カエタルが居なくなったのを見てからブントフは言う。
「なぜ処刑しないのです? 陛下の暗殺を企てた者ですよ?」
イサはやれやれと言ったふうに笑っている。
「……あれは身代わりよ」
「身代わり?」
「そう。あいつの後ろに更に誰かいる。だって、あいつが本気で国を奪うつもりなら暗殺決行日にあいつの部隊が全く動いてないのはおかしいでしょ。私が死んだ後に政府施設を占拠しないといけないのに」
「そう言われれば、そうですな。では一体誰が……」
「国とか民とかお構いなし。自分の利益のためにとにかく私に死んで欲しい。そういう人間がいるってことでしょ」
イサは鼻で笑った。
「ま、今はシェナの報告を待ちましょ。そう長くはかからないと思うから」
「左様ですか。では報告を続けますね。帝国全土の犯罪件数は貴族たちの報告によると……」
「ご報告中、失礼します!」
たびたび側近に邪魔されてイラッとするブトンフ。
「シェナ殿がお見えです」
勝手にずかずかと入ってくるシェナ。
「終わりましたよ陛下」
「相変わらず仕事が早いねー。で、どうだった?」
「……黒幕がどこの誰かと言うのはまだ掴めてません」
「あら? そうなの……?」
イサは当てが外れて少ししょんぼりした。
「ですが、刺客の正体は簡単に掴めました」
イサの表情が鋭くなる。
「簡単に掴めた……?」
「ええ、たぶん陛下は私に危険が無いように気を使ったんでしょ? でも危険なんか何も無しにわかりましたよ」
「いったいどういう方法でわかったんだ?」
ブトンフは報告を邪魔されて怒っているのか語気が荒い。
「……まず酒場を当たったんですよ。小柄で痩せ型で短剣を持ってる男の話知らないかって。そしたら朝まで飲んで、主人と話してたそうで、通り名と居所を喋ったと」
それを聞いてイサは大笑いした。
「で、誰なの?」
イサは興味深げに笑いながら尋ねた。
「……自分は”猫の目”と呼ばれてると話したそうです。公安に聞いてみたら主に貴族を客層として活動している殺し屋でそう呼ばれてる奴がいるようですね」
イサは鼻で笑った。やはり貴族の中の誰かか、そう思った。ちょうど貴族制廃止を推進し始めたタイミングだったのでイサは貴族を疑っていた。
「もういいよシェナ。ご苦労さま」
「居所のほうはいいんですか?」
「言わなくていいよ。どうせ行かないから。引き続き黒幕の方を探して」
「……わかりました」
シェナはそう言うと礼もせずにすたすたと帰ってしまった。
「猫の目はまた来ますかね? 護衛を増やしたほうが良いのでは?」
「いや、たぶんもう来ないよ」
「え? それはどういう……?」
「あんな手練が自分の居所までうっかりべらべら喋ると思う? わざと私の耳に入るように喋ったのよ」
ブトンフは話しが見えず、首を傾げている。
「”逃げも隠れもしないからお前のほうから来い”って意味よ。仕留め損ねて頭に来たんじゃない?」
イサは大笑いしている。
「なるほど、そういうことですか。それなら安心して1ヶ月間みっちりご報告できますな。えー、帝国全土の犯罪件数は貴族たちの報告によると……」
「もう、報告はいいってば!!」

その後、カエタルを取り調べるようにイサは命じた、しかし取り調べが始まるとカエタルは舌を噛んで自殺してしまった。捜査員がカエタルの家や軍の施設も捜索したが何も出なかったという。シェナも八方手を尽くして調べたが痕跡が完璧に消されており、結局、誰が黒幕かを掴むことは出来なかった。
傷が癒えるまでの1ヶ月間、イサは帝都で静養した。その間、イサの予想通り猫の目は来なかった。そして、イサは怪我が治るといつも通り旅立った。

あとがき

みなさんいかがでしたでしょうか。

ひどいでしょw 何も解決してないからねw

いちおう伏線として「猫の目」が出てきます。

後々、再登場させるつもりで書きました。

それが無かったら本当に価値無しだったね。

自分的に猫の目の戦い方はちょっと不本意でね。るろうに剣心の瀬田宗次郎の縮地の1歩手前みたいな動きをイメージしてたんですよ。でも私の筆力ではあれを文章で表現できなかった。

小説のお約束で「その世界に存在しない物で例えてはならない」っていうのがあるんです。なので、この作品では「弾丸のように」っていう表現が使えないんですよね。「弾丸」が使えたら「まるで弾丸が跳弾するかのごとく」で表現できるんですけど。

なかなか難しいですよ。

さて、今日、新しいやつを書き上げて、明日上げる予定なので、お楽しみに。そっちはちゃんと書く予定です。

というわけで、今日も読んでくれてありがとうございました。

では、失礼します。

See You!

コメント

  1. ハルカ より:

    伏線がいっぱいで楽しみね♪

    • てっかまき より:

      まだ書いてないけど、色んな伏線が最後にブワーッて集結するようなの考えていますw