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【小説】魔神系非モテ女子の戦い・第4話

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第4話・私は魔神アスラでした

「お前は破壊神シヴァを倒すため、ヴィシュヌ神によって作られた眷属だ」

「破壊神……シヴァを倒す?」
「そうだ。シヴァとヴィシュヌは常に対立関係にある。維持しようとする者、そして破壊しようとする者、そのせめぎ合いが常に起こっている。魔神アスラはその戦いに投入された兵器というわけだ」
奈央は何も言わない。

「お前は227年前に1度シヴァを倒している」
「え?」
「227年前にヴィシュヌとシヴァの本格的な戦いが起こった。シヴァが全ての意思ある者を消滅させようとしたのだ」
「それはなぜ……?」
「いま存在する意思ある者は失敗作であるというのだ。神々に比べ、出来ることが少なすぎるというのが理由だ。こんな制約の多い意思は意思とは呼べないと」
「それを私が阻止したんですか?」
「そうだ」
「あの、よく分からないんですけど、シヴァは一度失敗しただけでなぜ諦めたんですか? 何回も挑戦すればいいのに」
「シヴァは一度敗れると目的を変える習性があるのだ。それが宇宙の意思だったとして受け入れる」

「で、いまここにいる私って一体何なんですかね……?」
「転生は200年の単位で回る。人間と悪魔は一度消滅すると転生するのに200年必要なのだ。消滅から200年後に悪魔は悪魔として、人間は人間として生まれ変わる。200年前の記憶を全て失ってな」
「ん? なんかおかしいですよ? なら何で人口が増えるんですか?」
「転生というのは一定回数しか行われない。まずブラフマーが創り、ヴィシュヌの力で何回かの転生を繰り返しシヴァの力で消滅させられる。人口が増えるのはシヴァの力がブラフマーの力より弱まるからだ。227年前にお前がシヴァを倒してからシヴァの力が急速に弱まり、ブラフマーが創造する早さのほうが早くなったのだ。だから人間や悪魔の人口はここ200年で極端に増えた」

「……で、私って一体何なんですか?」
「お前は227年前にシヴァを倒してからなぜか消滅してしまった。そしてなぜか人間として転生したのだ。それが今のお前だ」
「それはヴィシュヌさんがそうしたんですか?」
「いいや。お前の転生にはヴィシュヌは関知していない。なぜか勝手に消滅して、勝手に転生した。人間としてな」
「なぜか勝手にってそんな適当な……」
「それが事実なんだから仕方ないだろ。さて、ここまでが前置き、世界の構造とお前の存在についての話だな」
「こんなにいっぱい話してまだ前置きなの……?」
奈央はげんなりしてきた。バスの外を見てみると止まっている。渋滞しているのだ。

「次は今の状況についての話だ。200年の時を経てまたシヴァが大々的な消滅を画策している」
「何を消滅させようとしてるんですか?」
「東京だ」
「と、東京!?」
奈央が大声を出したので他の乗客がいっせいに奈央に注目した。
「そう、シヴァが東京消滅を画策している。そこにお前が登場した。これは運命だ。お前には再びシヴァを倒す義務がある」
「きゅ、急にそんなこと言われてもどうしたらいいかわかんないんですけど」
「お前はまだ力を使いこなせてないから、これから俺が修行してやる」

常人なら驚くか疑うかするところだろうがこのとき奈央の胸にあった感情は諦めだった。もう、どうでもいいや、と奈央は思った。

(どうせシヴァ倒したらまた消滅するんだろうな。いいや。私なんか一生このまま男に縁なく寂しく死ぬんだろうし、せめて人様のためになることしてから死のう。死ぬ前に一度でいいから男に抱かれてみたかったな……)

「俺から話すことは以上だ。何か質問はあるか?」
奈央は浮かない顔で下を向いている。
「おい、何ボケっとしてる? 質問はないのか?」
「あ、はい、えー、質問ですか? えーっと……」
奈央は上を向いて考えている。

「……そういや、社長も悪魔なんですか?」
「あの方は神だ。維持神ヴィシュヌの眷属クールマだな」
私、神の下僕として働いてたんだ。奈央は少し不思議な感覚に囚われた。

「神と悪魔の違いって何なんですか?」
「3大神が自らの眷属として創りだしたのが神だな。ブラフマーの力でチャクラのなかで創られたのが悪魔だ。だから悪魔はシヴァの力によって死に、ヴィシュヌの力によって転生したりする。神はチャクラの中にはいないので、死んだりはしない」

「じゃあ、悪魔って人間と同じなんですか?」
「そうだ。人間は光、悪魔は影を司る存在として作られた。悪魔にも寿命はあるし、死にもする。人間よりも寿命は長いがな」

「どれぐらい長いんですか?」
「だいたい人間の年齢を10倍したのが悪魔だと思っていい。俺は今、231歳だ」

「んー、あと、何があるかなぁ」
奈央はロングヘアをくるくるといじりながら考えている。
「そういえば悪魔って世界中にいるんですか?」
「いや、ほとんど東京にいるな。まれに他の場所にいるやつもいるが」

「なんで東京に?」
「東京がプラーナの流れの終着点だからだ」
「プラーナ?」
「……説明が難しいのだが、お前ら人間が言うところのエネルギーのようなものだな。悪魔はこれを使って生活する。全宇宙でプラーナが生み出され、地球に流れてきて周りを駆け巡り、最終的に東京に落ちてくる。大陸移動の結果、ちょうど終着点の場所に東京が来たっていうことだな」
「ほー」
奈央は感心した。宇宙ってよく出来てるなと思った。
「だから我々悪魔としても東京が消滅してもらっては困るのだ。お前には頑張ってもらわないとな」

「確かに東京が消滅したら私だって嫌ですけど……。あ、そういえば、何で悪魔って人間に化けて生活してるんです?」
「人間のほうが数が多いし圧倒的に社会が発展してるからな。人間の社会の中に溶け込んだほうが生活するのに便利なんだ」

「へー、そういうことか。……えーっと、あとはー、んー、あっ、これ最後。私って神なんですか? 悪魔なんですか?」
「さあ。ヴィシュヌの眷属ということは神だとも思えるし、戦闘能力があって消滅もしたということは悪魔とも思える。そして転生先は人間だ。……要するによくわからん存在ってことだ」
「よ、よくわからん存在……」
奈央は自分の存在をよくわからんと言われて不安になった。

「さて、バスがついた。さっそく今日から修行だ」
「修行って何するんですか?」
「戦闘の訓練だよ」
「そんなのどこで……」
「この事業所の地下倉庫を借りきった。そこでやる」
この日から奈央の修行生活が始まった。

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作者コメント

長いこと説明が続きましたが、次回からストーリーが動きます。