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【小説】魔神系非モテ女子の戦い・第5話

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第5話 超しんどい!腕立て5万回

――株式会社トルペド、川崎事業所、地下倉庫。本来ならここには製品を入れた段ボール箱が天井まで山積みになっているのだが、黒井によって全て運びだされ、ガランと何もなくなっている。

「ここ、誰か入ってきたりしませんかね?」
奈央はおっかなびっくりキョロキョロしている。
「セキュリティ管理部門に言って俺とお前以外のセキュリティカードは拒否するように設定していおいた」
「はあ、準備万端ですね」

「さて……」
突然、体からまばゆい光を発し、ベリアルの姿になる黒井。
「で、出た! ベリアル様」
ポーッと見惚れる奈央。
「もう鼻血は出すなよ」
「課長! どうか仕事のときもその姿で居て下さい!」
「お前はバカか? こんな課長がどこに居るんだ」
「えー、そっちのほうがかっこいいのにー」
「そんなことはどうでもいい。さっそく修行だ」

ベリアルは手を上にあげて人差し指を突き出すと目を瞑った。すると、一筋の稲妻と共に、青い馬に乗った老人が現れた。腰まである真っ白い顎ひげと口ひげ、そして髪の毛。黒い甲冑を身につけ、槍を持っている。
「およびでございましょうか、ベリアル様」
老人は馬から降り、ベリアルの前に跪く。
「このアスラに訓練をしてやってほしいのだ、フルカスよ」
老人は立ち上がってアスラのほうに向き直り、目を細める。
「ほー、あなたがあの高名なアスラ様ですか」
「このおじい様はどなたですか?」
「俺の配下で、騎士のフルカスだ」
「はあ、フルカスさんと仰るんですか。よろしくお願いします」
奈央は丁寧にお辞儀をする。
「いや、これは礼儀正しいお嬢さんだ。こちらこそよろしくお願いしますよ」
フルカスも軽く会釈をする。

「俺はいろいろ調べたいことがあるから、当面の修行は全てこのフルカスに任せる。こいつの言うとおりしろ」
「はい……。わかりました」
ベリアルは黒井の姿に戻ると、セキュリティカードをセンサーにかざして扉から出て行った。

2人は黒井が出て行ったのを見ると、顔を見合わせた。
「では、さっそく修行を始めましょうかの、アスラ様」
「はあ……。どんなことやるんですか?」
「失礼ですが、アスラ様はもう能力には目覚めましたかな?」
「能力に目覚める?」
「そうですじゃ。アスラ様の能力は炎と雷。それを出すことが出来ますかな?」
「あの、今日、1回偶然出ただけで、どうやって出したらいいのか……」
フルカスはヒゲを触りながら目を細める。
「なるほど、なるほど。では、いちおう能力は開放されてるようじゃな。あとはそれを使いこなせるようになれば良いわけですな」
フルカスは槍で床をコンコンと叩いた。
「まずは基礎体力の訓練から。ここで腕立て1万回、腹筋1万回、スクワット1万回ですじゃ」
「ええっ、そんなに出来ないですよ」
フルカスはカッカッカッと笑うと、
「アスラ様、軽くジャンプしてみなされ」
と、槍で天井を指した。奈央は言われたとおり軽くジャンプしてみた。すると7メートル近くある天井にゴチンと頭をぶつけてしまった。落ちて尻もちを付いて両手で頭を押さえる奈央。
「いったぁ~。何これ? 何が起こったの?」
「能力が開花すると身体能力も飛躍的に上がるのですじゃ。腕立て1万回ぐらいは軽く出来ると思いますぞ」
「はあ……。そういうもんなんですか」
「さあ、さっさと、腕立てするのですじゃ! スパルタで行きますぞ!」
「は、はい」

奈央は床に伏せて腕を立てるとものすごいスピードで腕立てをし始めた。常人から見ると目に見えないぐらいのスピードである。
(あ、ほんとだ。すごい簡単にできる)

結局、奈央は腕立て、腹筋、スクワット、それぞれ1万回を45分で終わらせた。
「どうですかな? 疲れましたかな?」
奈央は両手を見て開いたり閉じたりしながら言う。
「ん~、あんまり疲れてないですね」
「なるほど、なるほど、もっと負荷を増やしても良さそうですな。では一気に5万回行きましょうか」

「あの……フルカスさん?」
「なんですかな?」
「ちょっとご飯食べたいんですけど。お腹が減ってしょうがないです」
時間はちょうど昼時に差し掛かった頃である。
「おお、そう言えば、人間は食事というものをするんでしたな。では、1時間休憩にしますかな。私は待っていますので食べてきなされ」
奈央はセキュリティカードで倉庫から出ると、エレベーターで5階の社員食堂へ向かった。

奈央が購入したのは鯖の味噌煮定食である。この会社はセキュリティカードにアイシーチップが埋め込まれており、それをかざすだけで食堂や売店で購入できる。お金は後で給料から天引きされるのだ。
奈央はクチャクチャと定食を食べながら思った。
(大変なことになっちゃったな……。私が魔神アスラの化身で破壊神シヴァを倒すなんて……)
そんなことを思ってると、同期入社の智子が唐揚げ定食を持って向かいの席にやってきた。
「やっほー、元気? 奈央」
「う、うん」
「あれ? なんか仕事で失敗でもした?」
奈央はこれからどうなるのかと不安だった。
「そう言えばさっき地下で、あんたのとこの課長さんが倉庫から出てきた時に、鎧着たおじいさんがちらっと見えたんだけどあれ誰?」
「え、え? いや、うーんと、幽霊でも見たんじゃないかな。あそこ出るらしいから」
奈央はぎこちない笑いを浮かべながら誤魔化す。

食事を終えて、午後。奈央は筋トレを再開した。結局、全部5万回やるのに4時間かかった。
「ひー、さすがに疲れたぁ」
奈央は汗だくになっている。

フルカスはヒゲを触りながら目を細めた。
「なるほど、なるほど、これくらいがちょうど良いようですな。では10分休憩の後にもう1セットですじゃ」
「ひー」

奈央はもう1セットを5時間かけて終えた。時間は午後9時を回っている。
「フルカスさん、もーダメ、もー何も出来ない」
床に大の字に寝てぜーぜーと息を切らす奈央。

「ふむ、では今日はこれまでにしますかな」
フルカスが槍で床をコンコンと叩くと空中から例の青い馬が出現した。
「では、明日の朝8時半にここで待ち合わせということで。遅刻は許しませんぞ」
フルカスはそう言うと馬に乗り、空中を駆け、消えてしまった。

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作者コメント

修行回です。そんなに長く修行は続かないです。次回で終わりです。